この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わたしの彼は 甘くて強引
第6章 悪い男
――――
ありゃあ怒ってるな、翔
栄作がぼそりと呟いたのを聞いて、柚子は顔をそちらに向ける。
「やっぱり…怒ってるんでしょうか」
珍しいと思った。
「あいつは昔から、自分に厳しく…同時に人にも厳しい子供だった」
「……」
「ストレートな駄目だしが、よく周りの人間を傷つけたものだ」
「先輩が…?」
絵本に興味を示した陽子をソファーに座らせながら、柚子は彼の話に首を傾げる。
だが高校の時期から翔は変わったのだと
栄作はそう続けた。
「もともと頭の良い子だったからね。…相手がどんな言葉を望んでいるのかを考え、翔は言動を改め始めた」
そうなってから
彼には友人も増え、周りから慕われ、結果的に彼の発言力は強まっていったという。
だがある日、翔の父親が…
栄作に困った顔で相談してきた。
『――…聞いてくれ栄作。
私のとこの翔が、笑いながらこう言ってきたんだ。
《俺の優しさは上辺だけの作り物だ。俺は偽善の塊なんだよ、…父さん》
……………とな。
まだひよっこの高校生のくせに困ったものだ……』

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


