この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わたしの彼は 甘くて強引
第9章 紳士な意地悪は如何ですか?

「それは違いますよ」
止まった彼の手はまたすぐに動き出す。
仕上げのマヨネーズとコショウを入れて味付けに入った。
「陽子ちゃんは、あなたを選んでここに来た……。あなたの子供になりたいと思ったから、彼女は今ここにいるんです」
「……?」
「だから彼女を産んだあなたの選択は正しかった」
たとえ親に、周りに反対されてようと
授かった命を大切に守った
「後悔する必要なんかないんです」
「……」
「…でしょう?」
翔はニコリと笑みを向けた。
その優しい表現が、言葉たちが…
多恵のきり詰まった感情の糸を、緩いてほどいていく。
彼女は自然と微笑んだ。
それを確認した翔はその視線をポテトサラダに戻して、混ぜ終わったそれを少しだけ指で掬い取る。

