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わたしの彼は 甘くて強引
第9章 紳士な意地悪は如何ですか?

「…だいたい、そんな安月給のパート続けるからだろうが」

「俺らがいい勤め先用意してやるって言ってるだろ?」


「……ッ」


いい勤め先――

そんな訳ないじゃない…!



「その話なら、もうお断りした筈です…!!」


細いたれ目の優しげな瞳で

それでも多恵は男たちを精一杯に睨んでいた。



この男は、私に水商売をしろと言っている

そこで働く女性達を軽蔑する気は決してないが、母親として、それだけは守りたいという一線が彼女にあった。



だがそれも……



「そんなお高くとまっていられる状況じゃないだろ?あんた」

坊主頭の男が、少しだけ声を優しくして言った。



「……」

「その顔なら十分稼げる。年もな…最近はあんたぐらいが一番人気なんだよ」



諦めなければいけないのだろうか?



全てを失った自分は、こんなちっぽけなプライドにしがみつく事も許されないのだろうか?



「…私は…っ…」



俯いた多恵は唇を噛み締めた。





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