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絶対に許さないからね
第9章 赤いリボン
いても立ってもいられなくなって、
わたしは家を出て駅に向かった。
一泊の温泉旅行から、詩子がもうすぐ帰ってくる。
わたしは中毒患者のように、詩子に餓えている。
丸一日以上も詩子に会えていないのだ。
禁断症状で幻覚を見てしまいそう。
冗談はさておき。
さすがのわたしも、
そこまで子離れできていないことはない。
まあ少しくらいは、
一瞬でもはやくぎゅうっと抱き締めて、
つむじのあたりをくんくんしたい衝動がないこともないけど。
詩子のほうがよっぽど親離れしてるぞ、
なんて銀ちゃんに言われたことなんかないし。
母と一緒に駅で下りて、
あとは車で家まで送り届けるよ、
と兄に提案されていたのだけど、
それだと遠回りだし、
まあちょっと寄っていけよ、
と兄が引き留めようとするのは目に見えている。
そうなると、一時間は帰ってくるのが遅くなる。
詩子は電車に慣れているし、
乗り換えの駅で母がちゃんと見てくれていれば、
途中から詩子ひとりでも、なにも問題ないはずだ。

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