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第14章 許したわけじゃないからね

　坂井直人の墓の場所は、すぐにわかった。

　兄が小学校中学校と同級生だったので、
昔の友達に問い合わせてくれたのだ。
卒業アルバムにのっていた古い友人の自宅電話にかけてみると、
当の本人が出て、あっさりと教えてもらえたらしい。
坂井直人の死因については、
単純に交通事故に巻き込まれた、
としか認識していなかったようだ。
運の悪いやつだな、と。

　詩子が、あたしも行くっ、
と言い出すとめんどうなので、
詩子に黙って、
詩子が学校に行っている時間に、
こっそり行くことにした。
まだ母には内緒にしている。
サプライズ、というわけではない。
一緒に行こう、と母に伝えてもらおうと兄に頼んだのに、
きっぱりと断られてしまったのだ。

　お前から母さんを誘い出してやれ。
俺からは一切なにも言わない。
墓の場所がわかったことも内緒にしておく。

　楽しんでいるのかって思うくらい、
兄は嬉しそうにそう言った。
まったく、意地悪で性格のひん曲がった兄だ。