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君とセカンドラブ
第4章 誠一という男
互いに酒を酌み交わして口説いているわけでもないのに、なぜだか無性に彼女を抱きしめたくなった。
「わたし…誠一さんと…本当のキスがしたいなあ…」
そんなことを言いながら
誠一が舐めたスプーンに悩ましげにチュッとキスをした。
『こ、これって…僕は誘われているのか?』
そう考えてしまうと途端に誠一の口数が減る。
「誠一さん…どなたかとお付き合いされています?」
「えっ?」
一緒に仕事をしていて自分に女っ気などないことなど丸わかりだろうに、からかわれているのだと思った。
しかし、女の扱いに不馴れな誠一は
上手く切り返す言葉さえ出てこない。
「誠一さんは素敵だから女が放っておかないわよね」
「よしてくれよ
こんなつまらない男なんて誰も相手にしないさ」
「あら?じゃあ、相手にしようとする私は変人かしら」
晴海はテーブルの上にスッと手を伸ばして
誠一の手のひらを逃がさないとばかりにしっかりと握った。
「捕まえた…」
お茶目な晴海に誠一はメロメロにされた。
「もし…君と深い関係になりたいと言ったら…
君に軽蔑されるかな?」
「ううん…そんなことない…
だから…私と…」
その後は言葉などいらなかった。
晴海の肩を抱いて店を出ると
拉致するかのようにタクシーを掴まえて車内に飛び込んだ。

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