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2000文字の官能空間にようこそ
第2章 オークション
 工藤宗助はオークション落札通知書に目を落とし、品物が今日届くのを確認した。落札通知書を手にするのは今日三回目。つまり三度確認したということになる。
 胡散臭いオークション会場だった。会場に集まった人間はみなどこか影がありそうな者たちばかりで、それに会場に入場するだけでもかなりの費用がかかった。今となればそんなことなどもうどうでもいい。生涯手に入れることができないと思っていたものが今日届くのだ。すべてチャラ。工藤はにんまりと笑い、そう思った。
 還暦を迎えたころから工藤の色欲に対する熱のようなものが冷め始めた。若いころから工藤は酒を飲み博打を打ち、そして女を買った。特に女には目がなかった。若い女から四十、五十の女まで食いまくってきた。
 それが六十を越えると酒量も減り、博打を打つときの息が詰まる思いがなくなった。辛うじて肉棒は硬くなるが、それでも若いころの自分にはもう戻れない。悲しいかなそういう自分に慣れていくしかないと工藤は考えていた。
 そんなときだった。工藤はYouTubeで見たある動画に吸い寄せられた。パソコンの画面に目が釘付けになり心臓がばくばくと鳴り始めた。
 それは高校ブラスバンド部のイベントでの行進。みかん色のスコートを穿いた女子高生たちが、それぞれ担当の楽器を演奏しながら隊列を乱すことなくパレードしている。
 工藤の目は楽器を演奏する女子高生たちのある部分だけに向かっていた。それは、スコートからのぞいている健康的な女子高生の太もも。激しい動きのせいでスコートからときおり見える黒のスパッツ、ひざ下まで伸びている紫のソックス。すべてが完璧だった。
 むっちりとしたその太ももは若さの象徴であり健全の証。
 工藤は思った。あの太ももにむしゃぶりつきたい。女子高生とセックスしたいのではない。萎れた肉棒をしゃぶれと命令などしない。ただ、あの太ももを自分のものにしたい。匂いを嗅ぎ、しゃぶって舐めて、若さのエキスを吸収したいのだ。
 綺麗だとか可愛いとか、例えばスタイルがいいとか、そんなことは工藤にとってはどうでもいいことだ。大切なことは太ももがふっくらとしていること、ただそれだけだ。
 みかん色のスコートに黒のスパッツ。そして紫色のソックスを穿いた女子高生の太ももに顔を埋める。女子高生たちが放つ青春の輝きを一滴残らず工藤はそこから吸い上げたかった。
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