この作品は18歳未満閲覧禁止です
蛇神様の花わずらい
第15章 赤い犬
美鎖もずっと女子校だったので、男の子と勉強するのは初めてだ。
隣の席というのは案外近い。
大学の教室は机がくっついているから余計である。
途中、穂波と肘がぶつかった時には、触れたところがビリビリした。
「ご、ごめんなさい……」
教室だと、こんな小さな接触でも緊張してしまうのはなぜだろう。
「美鎖、落としたよ」
授業中なので、ヒソヒソ声で穂波が言う。
かがんで指を伸ばし、ひょいと消しゴムを拾ってくれる。
その滑らかな仕草に、妙にドキドキした。