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第12章 第12章 由香
大きな目で見上げ、忠の顔が下がり、顎に手を当て
唇が重なって来る、忠の舌が由香の舌を追って来る
忠の舌の感触、何時もの忠の舌、安心できる舌の感触に
吐息を漏らして抱き着いて行った、

「 昨日は、楽しかった ? 」

腕に頭を乗せた由香の顔を覗き込み忠が聞いて来る
忠の瞳の奥の光を見て、口を堅く閉ざした由香は
手を握り締め小さく頷いた

「 お早う御座います 」

野太い声に振り向くと、英明が笑顔で由香を見下ろし
浴衣を着た綾乃が微笑みを浮かべ由香に目を合わせて来た
綾乃が差し出して来る浴衣を羽織り、起き上がって
二人に挨拶を返した、

「 朝食の前に一風呂 」

大柄な英明が裸の尻を見せガラス戸を開けて
外へ出て行く、綾乃が困った顔で見送り

・・・ゴメンナサイ・・・

頭を下げ浴衣を持つと立ち上がり、二人を見て

「 一緒に入りましょう 」

切れ長な目が誘って来た、由香が忠を見て小さく首を振り
綾乃が

「 今日でお別れなのよ 一期一会のお付き合い 」
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