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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第26章 和美 39歳
「まさかお隣さんに僕が役立たずだとバレるとは思いませんでした…」
「あ、ご心配なく、医療関係者には守秘義務がありますので他言はいたしませんので…」
「ありがとうございます…
でも、あなたに無能者だと知られたのはショックです」
他言しないと言っているのに
何をウジウジしているのかしらと
私は読書もそこそこにベンチを立とうとしました。
「あのクリニックで無精子症だと言われてから
何だか最近は勃起もしなくなってしまってね…」
「まあ!それは大変ですね」
立ち去ろうとしましたが
下半身の人生相談みたいな雰囲気になって
私はもう一度腰を据えて旦那さんの相談にのってあげることにしました。
「まだ二十代なのにインポになるとは思いませんでした」
「いえ、精神的ショックから
そうなる方も多いんですよ」
「じゃあ、奥さんが相手してくれたら勃起するでしょうか?」
「あ、いえ、私でなくても…
その風俗で見ず知らずの女性が相手とか…」
「そんなふうに性をお金で買ったりするのは嫌なんですよね」
じゃあ…私にどうしろと言うの?
旦那さんの深刻そうな顔を見ていたら
思わず「私でよければ協力させてもらいます」なんて軽々しく言ってしまったんです。

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