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女優なんて…
第14章 初舞台
私の声に自分を取り戻したのか
メリーさんは清水さんを押し退けると
舞台上に脱ぎ散らかした衣服を鷲掴むと
顔を真っ赤にして控え室に逃げて行きました。
「おい!どこへ行く?
まだ立ち稽古は終わっていないぞ!
お前がいなくなったら通し稽古にならないじゃないか!」
近藤が慌てて大きな声でメリーさんに戻ってこいと怒鳴った。
「メリーを連れ戻せ!
元はといえばお前が大声を出したからメリーがトランス状態から抜けてしまったんじゃないか!」
怒りの矛先が私に向けられた。
「だって大声もあげてしまいますよ
神聖なる舞台で演技をそっちのけでセックスするなんて!」
「セックスして何が悪い!
セックスこそ最大の愛情表現なんだよ!」
いいからメリーを連れ戻してこい!
私は近藤さんに叱責されて
納得がいかないまま、控え室へ行ってメリーさんに戻ってもらうように説得に向かいました。
控え室ではメリーさんが泣きじゃくりながら着衣をしている最中でした。
「メリーさん…近藤さんが舞台に戻って来いと…」
声をかけるのも気が重かったのですが、
新入りの私は近藤さんの命令をそのまま伝えるしか仕方ありません。
「私、戻らないわ…」
「えっ?」
意を決したメリーさんの言葉に
私はかける言葉を失ってしまいました。

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