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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参 
―きれいな笑顔。
 千汐は、おつなの微笑に今更ながらに見惚れる。
「―醜いでしょ。いつか客に化けものって言われちゃった」
「そんなことあるものか。千汐ちゃんは、十分きれいだよ。それに若いしさ。あたしなんかもう三十過ぎの姥桜。後は散るのを待つだけだもの」
 おつなは慈母観音のような表情で微笑んでいる。
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