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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第13章 山茶花~さざんか~ 其の参

「ごめんよ」
表で女の声が聞こえた。
その声で、物想いに耽っていた千汐の意識は急速に現実に引き戻される。
「ちょいと邪魔しても良いかね」
女にしては身の丈が高く、眼許や口許に得も言われぬ色香が滲んでいる。膚の色は抜けるように白く、すべてかであった。
が、髪の結い方や着物の着崩し方から、この女もまた商売女であることが知れる。右の目尻の下に小さなほくろがあり、それがまた、この女に不思議な妖しさを添えている。
表で女の声が聞こえた。
その声で、物想いに耽っていた千汐の意識は急速に現実に引き戻される。
「ちょいと邪魔しても良いかね」
女にしては身の丈が高く、眼許や口許に得も言われぬ色香が滲んでいる。膚の色は抜けるように白く、すべてかであった。
が、髪の結い方や着物の着崩し方から、この女もまた商売女であることが知れる。右の目尻の下に小さなほくろがあり、それがまた、この女に不思議な妖しさを添えている。

