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蜜愛~男になった女~
第10章 番外編【櫻の系譜・弐~水面の月-高嶺桜-】 壱―お千世

その時、お千世はけして自分から男にその素性について訊ねてはならないのだと知った。もし、無理に訊ねようとすれば、男とは二度と逢えないかもしれない。
男は、けして永遠に我が手中にとどめておくことができない存在、例えるならば、水に映じた月。お千世は漠然とそう感じ取っていた。水面に映った月は美しいけれど、魅せられて欲しても、けして手に入れることは叶わない。触れようとしても、水の中の月はただゆらゆらと揺れるだけ―。
男は、けして永遠に我が手中にとどめておくことができない存在、例えるならば、水に映じた月。お千世は漠然とそう感じ取っていた。水面に映った月は美しいけれど、魅せられて欲しても、けして手に入れることは叶わない。触れようとしても、水の中の月はただゆらゆらと揺れるだけ―。

