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蜜愛~男になった女~
第1章 第一部【白桜記】 其の一・山桜

「殿、畏れながら、汗をお拭きなされませ」
聡一郎は懐から手拭いを取り出すと、信頼に差し出した。汗が冷えて風邪を引いてはならぬと主君の健康を気遣ったのである。
だが、信頼は思いもかけぬことを言った。
「―今日は暑いな」
そうひと言呟くと、何を思ったか、眼前の川にざぶざぶと入った。呆気に取られている聡一郎の前、見る間に着物を脱ぎ、袴を取り、下帯一つになった。信頼は両手で水を掬い、身体にかけ、顔を洗っている。いつになく上機嫌で気持ち良さそうに眼を細めていた。
聡一郎は懐から手拭いを取り出すと、信頼に差し出した。汗が冷えて風邪を引いてはならぬと主君の健康を気遣ったのである。
だが、信頼は思いもかけぬことを言った。
「―今日は暑いな」
そうひと言呟くと、何を思ったか、眼前の川にざぶざぶと入った。呆気に取られている聡一郎の前、見る間に着物を脱ぎ、袴を取り、下帯一つになった。信頼は両手で水を掬い、身体にかけ、顔を洗っている。いつになく上機嫌で気持ち良さそうに眼を細めていた。

