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夢見る夢子
第4章 男の体
お昼過ぎに渋谷のハチ公前に行くと
どこのアイドルかと思うほどに
真紀子は華やいだミニスカートを履いて
先に到着してスマホゲームに夢中になっていた。
「お待た!ちょっと遅れちゃったわ
ごめんねえぇ~」
「うん、許してあげる
その代わりバーガーは夢子の奢りね」
「ええ?なんでそうなるわけ?」
そんな事を言いながら
二人は笑いあって歩き始めた。
ハンバーガーショップを目指して歩いていると
真紀子が「ねえ、あれ」って
前方を歩くおっさんを指差した。
真紀子が指を指す方向に目をやって
夢子は思わず「あっ!」と声をあげた。
ショルダーバッグをたすき掛けにして
大きな書店の前で
雑誌を覗き込む中年男がいた。
パッと見は秋葉原にいそうな
オタクっぽいオヤジだけど
その顔には見覚えがあった。
それもそのはず、そのオタクおやじこそは
夢子達の高校教師で
ゴニョゴニョと
何を言っているのかよくわからない
社会科の谷本先生だったからだ。
「お昼、奢って貰おうよ」
真紀子は小走りで谷本先生に近づいた。
「せ・ん・せ・い!」
真紀子が声を掛けると
谷本先生はギョッ!と驚いた。
「えっと…君たち…誰かな?」
自分の学校の生徒の顔を覚えていないことに
夢子と真紀子は落胆して頬を膨らませた。

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