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夢見る夢子
第7章 少年A
会計を済ませて病院の出口に向かう亜土夢は
夢子の姿を見つけてニヤリと笑った。
『ハメられた~!!』
何よ!
今日明日にも死んでしまいそうな口ぶりだったから
亜土夢の無理なおねだりをきいて
童貞を卒業させてやったのに!
これじゃあ、単なる処女泥棒じゃないの!
腹立たしかったけれど
心なしか童貞を卒業した亜土夢は
晴れやかな顔をして夢子に向かってバイバイと
軽やかに手を振って退院していった。
後を追いかけて
ほっぺたにビンタのひとつでも
くれてやろうと思ったのだけど
すぐに夢子も会計に呼ばれてしまい
亜土夢を追いかけることは出来なかった。
『まあ、いいか…
いざとなれば幽体離脱して
あの子の部屋に押し掛けることも出来るし…』
それは建て前であって
夢子は処女を捧げた亜土夢の事を
ちょっぴり好きになっていた。
「夢子ちゃん、退院、おめでとう」
一時は昏睡状態が抜けずに
目覚めないかもしれないと思われていただけに
元気に退院する夢子を
担当ナースの彩佳は自分の事のように喜んでくれた
「彩佳さん、ありがとう
彩佳さんもお幸せにね、
それと…ハイヒールは履いちゃだめよ」
そう言ってあげると
何の事かわからずに彩佳はキョトンとした顔で
夢子を見送ってくれた。

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