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第16章 命令

手際の良い仕事の進め方はチーフの田村ではなく、坂口の指導ということは関係者全員の認識だった。
年齢でいくと普通は管理職として直接の作業はしないのだが、一旦、会社を離職した坂口は平の主任技術者として豊富な経験を活かしながら設計を進めてくれている。

インテリアデザイナーの由美も坂口のおかげで迷いなく腕を振るうことができて、この仕事を始めて以来、最も充実した日々を送ることができていた。
そんな坂口に対して、別の意味でも感謝することがあると由美は確信していた。