この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「ヴァーチャル奴隷」契約(文字だけでイカせてくれますか?)
第125章 別れの挨拶

「この度は長い間、御迷惑をおかけしました。
そして、今までお世話になり、ありがとうございました」
由美が深々と頭を下げて挨拶をしている。
フロアにいる数十人が取り囲むオフィスの中央で、由美は「退社の挨拶」を行っていた。
7月も終わろうとした頃、突然、由美の元へ実家から連絡があった。
急病で父が入院したという知らせに、急いで病院に行った。
幸い、命に別状はなかったが「肝臓癌」であった。
若くはないので、ひどくはならなそうだが仕事は引退すべきだと医者に言われたらしい。
由美の父は札幌で中堅の「住宅販売会社」を経営していて、子供は由美だけなのだが特に継がせるつもりは無く、一代で終わらせ、株式は売却するつもりだった。
インテリアデザイナーで充実した日々を送る由美の人生を尊重したかったからだ。
だが、由美は父の看病をする内に会社を継ぐ気持ちに傾いていった。
由美が幼い頃は小さかった会社を大きくした父の苦労が、やつれた顔から痛いほど理解できたのである。
父の努力の結晶を何とか残してあげたいと思ったのだ。
勿論、経営の素人である自分が引き継げるかは自信があるわけではない。
上手くいかなければ、その時は売却を考えればいいのではないか。
由美の提案に父は最初は反対していたが、やはり会社を残すことの嬉しさが勝った。
幸い、経営も順調だし、組織もしっかり作ってあるので、半年ほどは自分も会社に残ってアドバイスをすれば何とかなるだろうと考えたのだ。
そして、今までお世話になり、ありがとうございました」
由美が深々と頭を下げて挨拶をしている。
フロアにいる数十人が取り囲むオフィスの中央で、由美は「退社の挨拶」を行っていた。
7月も終わろうとした頃、突然、由美の元へ実家から連絡があった。
急病で父が入院したという知らせに、急いで病院に行った。
幸い、命に別状はなかったが「肝臓癌」であった。
若くはないので、ひどくはならなそうだが仕事は引退すべきだと医者に言われたらしい。
由美の父は札幌で中堅の「住宅販売会社」を経営していて、子供は由美だけなのだが特に継がせるつもりは無く、一代で終わらせ、株式は売却するつもりだった。
インテリアデザイナーで充実した日々を送る由美の人生を尊重したかったからだ。
だが、由美は父の看病をする内に会社を継ぐ気持ちに傾いていった。
由美が幼い頃は小さかった会社を大きくした父の苦労が、やつれた顔から痛いほど理解できたのである。
父の努力の結晶を何とか残してあげたいと思ったのだ。
勿論、経営の素人である自分が引き継げるかは自信があるわけではない。
上手くいかなければ、その時は売却を考えればいいのではないか。
由美の提案に父は最初は反対していたが、やはり会社を残すことの嬉しさが勝った。
幸い、経営も順調だし、組織もしっかり作ってあるので、半年ほどは自分も会社に残ってアドバイスをすれば何とかなるだろうと考えたのだ。

