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調教物語~ある男の性癖~
第18章 分岐点
そのうち、総務部長が一本の電話を受けた。
最初の一言二言は怪訝そうな顔つきで話していたが
次第に表情が驚愕の表情になり
受話器を耳に押し当てて
深刻そうな顔つきになった。
通話を終えると「ふぅ~」っとため息をついて
天井を睨んで微動だにしなくなった。
それを見ていた加菜恵は
咲希の身に何かあったのだなと
女の直感で見抜いていた。
加菜恵の予想どおり
電話を掛けてきたのは
咲希のレイプ事件を扱った警察署からで
咲希の心のケアをよろしく頼むとの事だった。
総務部長は自分を責めていた。
なぜ昨夜、咲希一人に残業を頼んでしまったのか…
帰宅が遅くなったときのために
タクシーチケットを渡しておけば良かったと
必要以上に自分を責めた。
心のケアと言われても
彼のサラリーマン生活で
このような事案は初めてなので
何をどうすれば良いのかわからない。
とにかくこの事は自分の胸にしまっておかねばと
平静を装うことにしたが
仕事が手につかず、
彼の目は挙動不審で泳いでいた。
そこに加菜恵が
スッと部長のデスクに近づいてきた。
「金沢さんに何かあったん?」
誰にも聞かれないように
加菜恵は小声でそのように問いかけた。

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