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私は管理人
第8章 ホストの向井くん
そこから先はあまり記憶がないのですが
気づけば向井くんと二人でタクシーの中でした。
「向井くん?あなた、お仕事は?」
「辞めました」
「えっ?」
「管理人さんが遊びに来てくれて
踏ん切りがつきました
僕、田舎に帰ろうと思います」
「じゃあ…部屋も出て行っちゃうの?」
「はい。あっ、部屋代はちゃんと来月分までお支払いしますから安心してください」
「そんなのはどうでもいいんだけど…
せっかく仲良くなれたのに寂しくなっちゃう…」
わたしは無性に悲しくなってポロポロと涙を流してしまいました。
「最後のわがままを言ってもいいですか?」
「ええ、わたしに出来ることなら何でも言って頂戴」
そう答えると、待ってましたとばかりに
向井くんはわたしの耳元に口を寄せて
「最後に一度でいいから管理人さんとセックスがしたい」と囁きました。
「えっ?」
わたしは驚いて彼の顔を見ました。
でもそれは冗談ではないようで
彼はとても真剣な眼差しをわたしに注いでくれました。
「いいわ…
そのかわり、この事は誰にも内緒よ」
そう言うと向井くんはタクシーの運転手さんに
この界隈では有名なラブホ街に行くように伝えました。

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