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第10章 すれ違い

「なかなかいい目をしてる男だったぞ、梶野智輝」

綾宮は奈緒の家財道具を並べた部屋で不敵に笑った。
その言葉を聞き奈緒が青ざめる。

「智輝に何をしたのっ!?　あなたに従えば智輝には手を出さない約束でしょっ!!」

我を忘れ、奈緒は綾宮の肩を掴んだ。

「ふふっ……心配するな。引っ越し屋の一人に成り済まして話をしただけだ」
「本当でしょうね!?　智輝に何かあったら絶対に許さないからっ!!」
「私は約束を守る男だ」

捕まれた手を離させながら綾宮は立ち上がった。

「尾行してきたから一旦別のマンションに入った振りをして巻いてやったからここの場所はバレていない」

カーテンを開き、眼下に広がる夜景を見ながら綾宮はほくそえんだ。