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第3章 父の残したもの

「じゃあ、私ご飯作ってバイト行かなきゃ。
お母さんトイレいく？」


私の問いに小さく首を横に振ると、疲れたのだろうか再びまたベッドに横になってしまった。




私は卵で汚れた手を洗いながら、これからどうしたらいいのかをずっと考えた。



叩かれた頬よりも



胸が痛い…




少しでも気を緩めてしまえば、涙が出る。


だけどどんなに頑張って堪えても涙が溢れて視界がぼやける。



すかさず、ビニール袋から買った玉ねぎを取り出した。



そうだ、涙が出るのは玉ねぎのせい。


悲しいから、辛いから泣いてるんじゃない。



私はそう自分に言い聞かせてお母さんに気付かれないよう声を殺して泣いた。