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濡れて堕ちて……
第4章 大罪
私は不倫をした。
浩一以外の人に体を許した。
下半身の疼きがその証しだ。
不思議と、罪悪感は感じなかった。
それどころか、私の心と体は満たされていた。
「シャワー浴びますか?」
「遠慮しとく。うちと違うシャンプーの香りがしたら可笑しいもん」
「でも、髪も顔もぐちゃぐちゃですよ?」
あ…
あんなに激しく乱れちゃったもんね…。
あんなに…激しく…
さっきまでの自分を思い出してしまった。
狂ったように感じて、ねだって、獣のように声を荒げて
「…やっぱシャワー借りるね!」
ベッドから抜け出し、服と下着を広い部屋を後にしようとすると
「あ、玄関のそばですよ」
場所を教えてくれた。
マンションの作りなんて似たようなもんだし、シャワーの場所ぐらいわかるのに。
意地悪なんだか優しいんだか。
さっきまでの自分を思い出したら、徹のそばには恥ずかしくていられない。
シャワーを浴びながら思った。
私は浩一の召使いじゃない。
私だって悪いことぐらい出来る。
常連さんと犯した大罪。

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