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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)

「私は構いませんが……」
と、サクナは令嬢のふたりを見る。
令嬢たちは少し困ったような表情をしていた。
ヴィストーターがいると都合でも悪いのだろうか、彼女たちには悪いと思いつつも、どうしても疑いの目で見てしまう。
「あ……ヴィストーター様がお誘いになるのでしたらわたし達は……」
「遠慮なさらなくても、麗しきお嬢様方と見る庭はより美しくなる」
ヴィストーターは令嬢たちに、恥ずかしげもなく言う。訊いてるこちらが恥ずかしくなる。
サクナは冷ややかな眼で見るも令嬢たちは顔を赤らげより困惑した表情に変わる。
「…………姫様が気になりますか? それでは三人で庭を見に行きましょう。邪魔な姫様がいなければいい事も出来ますからね」
屈託のない笑顔でヴィストーターは令嬢たちに微笑みかける。ついには令嬢たちもほぅーっとヴィストーターを見つめだす。
決まった相手のいない令嬢なら、そうなってしまうのも仕方ない。
ヴィストーターは令嬢の間に入りふたりの腰に手を回す。その所作はなれたものだった。

