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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)

ゆったりとしたワルツの曲に合わせルカは優雅にリードをする。サクナが練習をしたよりも緩やかで優しい動きだった。
「また、難しい顔して……何考えてるの」
「…………緊張して……」
サクナはルカに視線を合わしてるものの、周りの視線が気になってしまう。あがり症の性格はそう簡単に克服出来るものではない。
だが、表情は強ばるも躯はルカに合わせ自然に動くから不思議だ。
「俺だけ見てろよ、周りは野に咲く花だと思えばいい」
そう、ルカはフッと微笑む。
ルカは陛下のみが着れる金と銀の糸で精緻な刺繍を施され豪奢な白い盛装を纏う。
いつものロイヤルブルーの盛装と違う白い盛装はルカをより清楚に見せた。
────それはそれでドキドキするんだけど……
天井画の天使が舞い降りてきたかのよう。
不安や心配をぬぐい去ってくれるような、安心感を得る微笑み。
緊張した空気が柔らかなものに変わってゆく。

