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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第7章 ~ご主人様の甘い誘惑~

「ヴァミンしばらく見なかったのに」
祈りにより星に淀む邪気を払うのがサクナの役目である。ケイルが言うにはサクナは、いま全盛期でヴァミン鎮めるほどの力を持っているそうだ。
「ヴァミンは消えたわけじゃない、邪気を払い抑えてるだけだからな」
ケイルは星剣を無空間に戻しながら言う。
祈りの時間は早朝が好ましい。
しかし、今は陽の光が高く照らしている。
「…………ちょっと浮かれすぎたかも」
祈り姫としての役目を忘れたわけじゃない。
不安で寂しかった心が、突然帰ってきたルカに満たされ寝坊してしまった。
「一日ぐらい、いいだろ。久しぶりに会ったんだ、そんな事でいちいち気に病むな」
「そうだよサク、それにそうさせたのは俺だし」
意外だった。
ルカはともかく兄がそういうことに。
厳しい印象の強いケイル。
思えばケイルと村で過ごしたのは六年間。
サクナはケイルと離れた時期のほうが長かった。
色恋い沙汰に疎い兄がそんな甘いことを言うとは正直驚きである。
「ありがと兄様」
「…………行くぞ」
ケイルは照れくさかったのか踵を返し先を歩いてゆく。

