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自分であるために~涙の雨と晴天の虹~
第1章 生きにくい世界で出逢った人

「ん、ちょっと瞼、下に向けて。目、あけて。閉じて……、ちょっと上、向いて……そうそ……。最後は……口、あむあむ、まっまっま~して。こんな風に。……はい! 出来上がり! ほら、鏡、見て」
鏡の前には今まで見たことのない私がいた。目は2倍……いや? 3倍増しの大きさ? チークは血色があり、つるっとした唇。伸びた睫毛。おさげの髪の毛はおろされて、ソバージュみたいになっている。当時、友達に見せてもらったファッション雑誌で見た憧れのモデルさんのような……そんな風貌な自分がいた。自分は可愛くない。だからメイクに憧れてメイクしても変わらない。認めてもらえた経験は少ないから、自己肯定感が普通の人より私は低かった。
「──かわいい。キレイ」
その両方の言葉が思わず出て、私は慌てて、口を手で抑えた。
「でしょっ! やっぱ、君、素材いいね! 女の子にとって、キレイになる、可愛くなる、かっこよくなる。それは生きたいって思える特別な魔法なんだ。それにそういう行為って人型に生まれ落ちた特権! それを今度は、あたしが世界中の女の子に教えてあげたい。だから、まずは、目の前にいるあなたから」
「あ、ありがとうございます」
京さんの微笑みは、まるでヴィーナスみたいで……眩しい。
鏡の前には今まで見たことのない私がいた。目は2倍……いや? 3倍増しの大きさ? チークは血色があり、つるっとした唇。伸びた睫毛。おさげの髪の毛はおろされて、ソバージュみたいになっている。当時、友達に見せてもらったファッション雑誌で見た憧れのモデルさんのような……そんな風貌な自分がいた。自分は可愛くない。だからメイクに憧れてメイクしても変わらない。認めてもらえた経験は少ないから、自己肯定感が普通の人より私は低かった。
「──かわいい。キレイ」
その両方の言葉が思わず出て、私は慌てて、口を手で抑えた。
「でしょっ! やっぱ、君、素材いいね! 女の子にとって、キレイになる、可愛くなる、かっこよくなる。それは生きたいって思える特別な魔法なんだ。それにそういう行為って人型に生まれ落ちた特権! それを今度は、あたしが世界中の女の子に教えてあげたい。だから、まずは、目の前にいるあなたから」
「あ、ありがとうございます」
京さんの微笑みは、まるでヴィーナスみたいで……眩しい。

