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いろはにほへと~色は匂えど~
第8章 武道大会
策ノ進は女に背を向けて座っていたが、
その声を聞いて慌てて振り向いた。
「お吉!やはりお吉であったか…」
「策ノ進さま?!」
城内のどこかで
姿を拝見できれば運が良いと思っていたが
まさかの再会とあいなった。
「元気にしておったか?」
「はい…懐かしゅうございます」
城に召しかかえられて方言が消えたお吉は
目にまばゆいほどのいい女に変貌していた。
二人はそれ以上の言葉を交わさずに
熱い抱擁をした。
そんな二人を引きはがすかのように
二度目の触れ太鼓が鳴り響いた。
「お時間がございません…
さあ、この道着にお着替え下さいませ」
お吉が策ノ進の帯を解き、
よれよれの着物を脱がせてくれた。
薄汚れたふんどしを見るなり
「私が嫁いでいたら洗ってあげれるのに…」と
涙声で言う。
道着を着せてもらいながら
『毎朝、寝間着から着替えるのを
手伝ってもらいたかったのう…』などと考えてしまう。

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