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Q 強制受精で生まれる私
第14章 5...? 度目
「ほとぎ!! しっかりしろ、ほとぎ!! 大丈夫か!? 意識あるか!?」

 あまりの声量に耳が耐えられずキーンと痛み出す。そんなに大声で呼ばなくても目を開けているんだから、意識があること位分かるだろう。それとも焦点が合ってないからそう見えるのだろうか? そういえばさっきから頭がくらくらして痛む。棚の下敷きにはならずに済んだけど、頭の打ち所は悪かったようだ。

 先生はいつもの凛々しい顔の血相を変えて、私をゆさゆさと揺らしては顔を覗き込んでくる。半狂乱になった先生は相変わらず私の眼が開いているにも関わらず、意識があるか確認する。一目みれば誰でも無事なことくらい分かりそうなものだけど、どうやらこちらから返事をしないといけないみたいだ。

 考えるまでもなく、私は用意していた回答で返す。

「…まー…くん?」

 ポツリと呟いたその瞬間、世界がフリーズしたかの様に静まりかえる。聞こえるのは私と先生の呼吸音だけで、それら以外は生きている気配を感じない。号令ひとつで全てが停止した世界の中で、異端である私達は否応なしに互いの存在を注視してしまう。

「ほ…とぎ? ほとぎ、なのか?」

 声を詰まらせながらいつになく真剣な面持ちで先生はそう尋ねてくる。答えは当然ノーだけど、言葉で答えたくない私はしばらく『まーくん』と見詰め合った後に、黙って首を縦に一回振る。

 次の瞬間。私は先生の両腕と胸の間に瞬間移動していた。骨を粉砕するかの様に圧迫してきては、私の体を貪り堪能するかの様にグリグリと押し付けてくる。痛覚を伴う一方的な熱い抱擁に心動かされるはずもなく、私は眉をひそめるも、すぐ左横で武者震いをしている先生はそんな私に気付くことなく自分の妄想に耽り続ける。

「ほとぎ…ほとぎぃ…良かった…無事に戻ってきてくれて…本当、に…」

 鶴の一声で『まーくん』という謎の人物と化した先生は、声を上擦らせながら私の左耳に訴えかける。頬をつたっていたであろう先生の涙が、乗せられている顎を通して私の左肩を濡らしていく。裸体の私の皮膚はその感動の体液を吸収することなく受け流していき、下方に向けてじわじわと不快な湿り気を強めていく。
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