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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第52章 治療④

ナイフは消滅したが、その代わり先ほどの交わりで注がれた聖女の力の大半が奪われたと聞き、フィーネは不安になった。
そんな彼女の気持ちを察したのか、ソルの手が赤い髪を優しい手つきで撫でる。
「大丈夫だ。ピアチェの力も残っているし、私がもつ本来の力もある。しかし、お前の言うとおり、そろそろ動き出したほうがよさそうだな」
彼の言葉に、フィーネは頷いて答えた。
二人は衣服を整えると、馬を引きながら、結界に向かって歩き出した。
道がなく、馬を走らせるのが危険だと思ったからだ。
しかし、
「ふふっ……みぃつけた」
甘ったるく楽しそうな女の声が、二人の足を止めた。
強い風が吹き抜けたかと思うと、目の前に二つの人影が現れる。
誰もいなかった空間に、突然人が現れ、フィーネは瞳を見開いた。
ソルが喉の奥から声を絞り出す。
そんな彼女の気持ちを察したのか、ソルの手が赤い髪を優しい手つきで撫でる。
「大丈夫だ。ピアチェの力も残っているし、私がもつ本来の力もある。しかし、お前の言うとおり、そろそろ動き出したほうがよさそうだな」
彼の言葉に、フィーネは頷いて答えた。
二人は衣服を整えると、馬を引きながら、結界に向かって歩き出した。
道がなく、馬を走らせるのが危険だと思ったからだ。
しかし、
「ふふっ……みぃつけた」
甘ったるく楽しそうな女の声が、二人の足を止めた。
強い風が吹き抜けたかと思うと、目の前に二つの人影が現れる。
誰もいなかった空間に、突然人が現れ、フィーネは瞳を見開いた。
ソルが喉の奥から声を絞り出す。

