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† 姫と剣 †
第12章 恋慕
数々の傷の跡。
それを辿って以前、リューイが毒矢で受けたと思われる傷をじっと見た。
「汚い体ですみません」
「そんなことない……」
全てが戦いの跡。
ルシアとの約束を果たすべく、護衛の騎士を目指すために鍛錬を重ね、戦いに挑み…
命を賭けるとはまさにこの事だ。
記憶もない自分のために、ここまでしてくれたリューイの熱意を改めて感じてルシアの目に涙が溢れた。
「………どうしました」
「うんん。またリューイと一緒にいれて嬉しくて……っ」
「………………」
「どの傷も………全部かっこいい」
ルシアの言葉が優しくリューイの心を包み込む。
報われた。
あの努力も、辛かった日々も死にかけたあの時も…全て、この笑顔を見るためだったと思えば納得が行く。
微笑み返したリューイは、ルシアの両手を優しく掴むと、そのままルシアの頭上に移動させた。
「………っ…リューイ…」
「見られてばかりというのも…」
全てが露わになり、恥ずかしさから身を捩るルシア。
「私にも見せてください」
「っ……でも…っ」
リューイは優しく首を傾げ、「でも」に続く言葉を待つ。
「……恥ずかしくて…っ」
「…………綺麗です」
「っ………」
「恥ずかしがる必要なんてない」
聞いたことのない、リューイの甘い囁きにルシアは目を瞑りながら、ゆっくりと抵抗をやめた。

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