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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第17章 王と女官
 ヨンが囁くような声音で言った。



「春になって暖かくなれば、ここには無数のムラサキカタバミが咲くんだ」




 彼の口から吐息が白く立ち上ってゆく。意図してかどうか、彼は儚く溶けゆく吐息を眼で追っていた。
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