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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第17章 王と女官
刹那、ヨンの瞳を覆い尽くす闇のあまりの深さに明華は衝撃を受けた。
「私は生後ひと月で、実の母から引き離された。すべては大王大妃の権力欲を満たすために、先王に近い王族の子どもを連れてくる必要があったからだ。私にとって、豪奢な楼閣は鳥籠にも牢獄にも感じられよ。母に会いたくとも会わせて貰えない。母は私が四歳の時、出産で亡くなった。流石に死に目には会わせて貰えたが。母に会えたのは死に目も含めて、せいぜいが二、三度だ」