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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第11章 悲歌
 宮殿に連れ去られ、王の影武者にされたその日から、あのひとは名前すら失ったのだ。




 殿舎に戻ってから四日目、ソファは毎日、写経をしている。言わずと知れた彼の魂を悼むためのものだ。どれだけ言い訳を重ねたとしても、あの男の血でこの手を汚した罪は消えはしない。
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