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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第11章 悲歌
 大妃は目下、爪の手入れの時間であった。




「仕上がりましてございます」




 今日の担当は手慣れたベテランである。報告を受け、大妃は淡い紅色に染まった両手の指先をこれ見よがしに持ち上げた。しげしげと眺め回している間中、待機した女官たちは顔を伏せて縮こまっている。
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