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恍惚なる治療[改訂版]
第13章 俺に出来る事
夜7時頃に三雲さんに卵焼きについて連絡を入れると、近くに居るので今からこちらに向かうと言ってくれた。
「お邪魔します」
「ごめんね、仕事終わりに呼び出して」
「いえ、丁度近くのお家で仕事をしていた帰りなので」
早速キッチンで2人並んで卵を焼いていく。
肩が触れそうな距離で、発作が出ないか緊張する…
「ほら、ヘラを差し込むといつも失敗するんだ」
「油が少ないですね。もう少し油を引いた方が引っ付かずに作れますよ」
三雲さんのアドバイス通り、油を増やして卵を流し込んでヘラでめくると、卵がフライパンに付かなかった。
若干不格好な卵焼きが出来たが、卵焼きのコツも掴めた。
「出来たー。三雲さんに来てもらえて助かったよ、ありがとう」
「いえ、佐伯先生のお力になれて嬉しいです」
「冷蔵庫にケーキがあるから、良かったら持って帰っ…」
ピンポーン…
「宅配かな?ちょっとごめん…」
印鑑片手に玄関を開けると、そこには…
「佐伯さんこんばんは」
「柳川さん、どうされたんですか?」
「顔が見たくなったので来ました。この前の休み、佐伯さんに予定が入って会えなくて寂しかったです」
「えっと…」
先週の休みは料理の練習がしたくて、柳川さんと会う約束を取り付けなかった。
柳川さんを驚かせたいから、料理をしているのは内緒だが、匂いでバレてしまう…
「良い匂い…佐伯さんが料理とは珍しいですね」
「そ、そうですか?」
「佐伯先生、今ケーキ1つだけいただいても良いですか?」

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