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第10章 実質の初デート

『そうだな。スージーより美人に囲まれてよりどりみどりだ』
『最っ低ね。さっさと行けばいいのに！見送りなんて行かないわよ』
『結構さ。ヒステリックな君の顔を見なくて済む』
『えぇ！私だって、だらしなく鼻の下を伸ばした男の顔なんて見たくないわ』
『な…っ！』
『どうぞお元気で。雨が降りそうだから帰るわ』

CMでは、雨が打ち付ける窓辺で、スザンナが髪をくしゃりとかき上げて涙を流すシーンが流れていた。
なるほど。こう繋がるわけか。確かに印象的だ。
ちらりと横にいる木山さんを見ると、口元を引き結んで涙をこらえているように見えた。
鑑賞中に手を握ることはしたくないし、何より作品に見入っているのを邪魔したくないと思い、視線をスクリーンに戻した。