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第2章 幻の蒼い薔薇

　そういえば、先刻、庭を通った時、牡丹を見かけたような気がする。大輪の牡丹が幾本も活けられているのはなかなか豪勢なものだ。室の扉が開く音に、ミナは誘われるように振り返る。視線の先には、小柄な老人と老人よりは頭二つ分ほど上背のある青年がいた。どちらも立派な身なりをしている。茶色のパジを着ているのは恐らく領議政姜英俊、隣の若者が彼の孫だろう。