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小夜
第6章 あめにぬれて(承前)
……次の朝、小夜は雨音で目覚めました。
小夜の隣ではお兄さまが、昨夜の疲れのままに眠っていました。
小夜が身につけていたワンピースは引き裂かれ、床に落ちていました。
もう、からだの麻痺は取れていたので、小夜はベッドから抜け出しました。

外に出るドアには鍵がかかっていませんでした。
外から鍵をかけるお兄さまが中にいるので、閉じられていなかったのでしょう。

小夜は裸のまま、雨の中へと出ていきました。

まだ朝早く、雨の降る庭は、ほんのりと明るいだけでした。
霧のように降り続ける雨は、からだのすべてを汚された小夜を、うわべだけでも洗い流してくれているようでした。
それでも、雨が洗いきれない足のあいだ、小夜の引き裂かれたおまんこは、痛みにずきずきと疼きました。

小夜のおまんこからはお兄さまの精液が、幾筋も流れ落ちていました。

小夜は薔薇の咲く道を通って、東屋に歩いていきました。
それは昨日、明るい日差しの中を、心ときめかせながら歩いた道でした。

東屋の前で小夜は立ち止まりました。
そして思い出しました。

お兄さまと交わしたキスを。
お兄さまに優しく乳房にキスされたことを。
愛しあう恋人になった夢を。


……こらえていた嗚咽がもれて、小夜は泣きました。
泣いて、泣いて、泣き崩れました。
すべてが打ち砕かれ、幻を信じた自分の浅はかさに打ちのめされ、小夜はただただ泣きました。

うずくまる裸の小夜の上に、雨はいつまでも降り続けました。
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