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第24章 危険な誘惑（1）

アルコールも入って、時間的な慣れも出てきたのか、ようやく佑奈と数秒間だけ目を合わせられるようになってきた。


佑奈の瞳はガラス玉のように透き通って、キラキラと光り輝いていた。


自分が2人で食事をしているのが信じられないほど、佑奈は美しい女性だった。
均整の取れた美形の顔に、艶のあるミディアムロングのストレートヘア、そして全く濁りの無い透き通るような声を携えていた。


黒井にとってあまりにすべてが理想的で、今日彼女と会えた事は奇跡のように思えた。


メインのステーキを口元に運んで、「美味しい〜」と感嘆の声をあげる佑奈を見てそれだけで黒井の心は満たされた。


会話を進める中で色々と分かった事がある。
佑奈は大学生１年生だという事、マッチングアプリで人と会ったのは今日が初めてな事、実際に会うことはかなり緊張したという事。


黒井「でも、佑奈さん、よくこうして会ってくれたよね」


佑奈「結構迷いました。会ってみるまでわからないから、でも、優しそうな人で安心しました」


「優しそうな人」という言葉に黒井は思わずニヤついてしまう。


黒井「その、佑奈さんは、だいぶ年上の男とかどうなのかな・・・？」


ドキドキしながら佑奈の顔を見ると彼女は一瞬戸惑った表情になっていた。
黒井はしまったと思った。こんな美人と食事をしているだけでも贅沢なことなのに、まだ会ったばかりで欲を掻きすぎたと思った。
2人のルックスと、年齢が釣り合っていないのは明らかだった。


佑奈は少し俯いて申し訳なさそうに口を開いた。


佑奈「ごめんなさい・・・」


黒井「あ、いやこっちこそ申し訳ない・・・・」


佑奈「あっ、いえ違って・・・自分で言うのもなんですけど私、だいぶ慎重派でちょっと距離が近づくのに時間がかかるというか」


黒井「そ、そうなんだ・・・」


佑奈「あっ、ごめんなさい・・・！
変な感じにしちゃいましたけど、年齢差は関係ないと思います。」


佑奈はまた優しい笑みを作ると何事もなかったかのように一口大にカットしたステーキを口元に運んでいった。