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幻の果てに……
第7章 没落
「卓也。最後に、抱いて……」
服を脱ぎ、卓也の前に立った。
「梨央……」
「卓也?」
彼は目を合わせてくれない。
「悪い……」
卓也が部屋を出て行く。少しして、玄関ドアの閉まる音。
私はその場の崩れ落ち、思い切り泣いた。
彼に愛情があったわけじゃない。
私達を繋いでいたのは、密かなセックスだけ。
それがもう終わり?
私はどうすればいいの?
何を支えに生きて行けばいいの?
全て誰も答えてくれない疑問ばかり。
子供も諦め、夫との仲も冷え始めている。
みんなに置き去りにされ、私は全裸のまま泣いた。
どこで間違えたんだろう。
きっかけを作ったのはいつも他の人でも、私はそれを楽しんでいた。
悲劇?
喜劇?
何年も前、静香が妊娠してしまった時と同じことを考える。
彼女も今は母親になった。
そして卓也まで。
みんな、私の考えから離れていく。
セックスを楽しめば、それでいいのに。
誰がおかしいのか、私には分からずにいた。

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