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第5章 　初体験

　中で放出され、一気に現実へ引き戻された。
　夫は子供を望んでいる。
　私も、半年前までは。
「梨央。今日は、大胆だったね」
　以前は、自分から腰を振るなどしなかったはず。
「淋しかったの……。久し振りだから……」
　そう言うと、夫は嬉しそうだった。
「もっと、戻って来られるといいんだけど。暫くは無理そうだから、我慢してくれよ」
　すまなそうに言われ、私は首を振る。
「シャワー、浴びてくる」
「ああ」
　秘蕾から流れる精液をティッシュで拭いてから、風呂場へ行った。
　特定の人じゃないが、他の男性を思いながらのセックス。それ自体初めてなのに、私は幻の中で絶頂を迎えた。
　半年振りの夫とのセックス。
　シャワーを浴びていると、まだ精液が流れ出てくる。
　妊娠しないといい。
　切実にそう思った。
　妊娠なんてしたら、もうあの店へ行かれなくなる。
　それだけ。
　理由はそれだけ。
　生活は安定していても、夫はいないのと同じ。
　三ヶ月に一度。三日間だけの夫婦。そんな気がした。
　女性からする避妊もあったはず。
　中を洗いながら、そんなことを考えていた。