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親愛なるご主人さま
第29章 失踪、消失

「噂によれば北条先生はなんつ~か妙な・・・ご趣味があるようで・・・5日前にセンターで検体した頃から行方不明になったあの遺体に、かなりご執着だったようですねぇ?」
「噂ぁ?刑事さんが噂なんかによって推理しちゃだめでしょ?ウフフ・・ 執着ってぇ、法医学者としては、当然調べる対象の遺体に執着する程ぐらいじゃないと、この仕事は務まりませんわぁ」
「お仕事熱心なのは結構ですがね。ではあの日に限ってしっかり者で用心深いあなたが、なんで安置室の鍵の掛け忘れをしたのかな? あなただろ?菜穂子を“お持ち帰り”したのは? どこに隠してあるの? 結構重いんだよー。この罪は!」
小田村は取調室の机をドンと叩いてレイラを睨んだ。
しかしレイラは涼しい顔で髪をかき上げ、斜に構えて流し目で見返した。
「ぅーん、鍵かけをうっかり忘れちゃったのは、ごめんなさいだけどぉ、“テイクアウト”なんかしないわょ~」
「じゃぁ、誰がやったと思う!?」
「さぁぁ?? それはわかんないですけどぉ、実はね・・・私も被害者なのよ~ん、刑事さん」
「あん? 被害者だぁ?」
「ええ、あの日ね、私のロッカーから私のお洋服と白衣も盗まれているのよ」
「ほぉ、それで、あんたの服を盗んだ奴が、遺体も盗んだとでも言いたいのか?」
「さぁ、それはわかんないわぁ・・・・でもねぇ、私のぅ、お洋服は以前にもこのセンター内で取られたことがあるのよ。聞いてくださるぅ?」
レイラは上目使いで小田村の顔を覗き込みながら猫なで声で言った。
「ぅ、うん。一応、参考までに・・聞こうか・・・」
「アノね。今回、盗まれちゃったのわぁ、白衣とボディにピタッとフィットするニットワンピースだけで済んだけどぉ、以前はね、パンティーやキャミソール、ガーターもなくなっていたわ。ブランドはオーバドゥとラペルラよ。イタリア製。高級なのよー。ご存じ刑事さん? パンティはね、レース生地で透けているデザインよ。色はパープル。クロッチがないヤツで代わりにホールが空いているのぉ・・・だからねぇ~、、そう・・・穴開いているから履いたまま・・・そぉよ・・・イイことができるようになってるのよ・・・ねぇ刑事さん、刑事さんは奥様と週何回?・・・いやだぁ、照れないでぇよ、ねぇ・・ウフフッ・・・・正直に言いなさいよぉ」

