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親愛なるご主人さま
第26章 悪夢の女医

 「さしあたって、事件か自殺か?県警本部も所轄も私の見解が気になるのでしょ?」

 「そうです!何処かでやられてから、現場に運ばれて、裸で捨てられたのではと・・・僕は思うのですが・・・」

 「でも外傷がないことは確かね!私も検査し始めたばかりだけど、そのセンがあるとすれば特殊な薬でも盛られたか・・・でしょうね・・・それでも凍死なら肌が醜く赤黒くなるはずだけど・・・そうならないのがこの死体の不思議なところだわ・・・」

 「解剖でしょうか?やっぱり・・」

 「解剖?いえいえ、こんな上玉を勿体ないわ」

 「勿体ないって!・・・どぅゆうコトすか・・・?」

 「あっ、いや、それは・・解剖なんかしなくても解るはずよってこと。内視鏡で胃や腸を診てね。血液は先ほどこちらに到着した後にすぐ採取出来たし、因みにO型だったわ」

 「そうか、注射とかで薬物を入れられたとしたら、血液や内臓に・・・あるいは飲んだり飲まされたとしても、胃や腸に反応が出るということですね?」

 「そうよ。だから結論的には・・今は何とも言えないわ」

 「レイラ先生の御診立てで、どれくらいで検体報告書が出ますでしょうか?」

 「急いでいるのは県警本部から聞かされているわ。今夜これから始めるの」

 「お一人で?」

 「ええ、助手などいても邪魔なだけ」

 「かしこまりました。この人の家族や身内の人が現れて、もし遺書でも出てきたら直ぐ連絡させていただきます。僕、レイラ先生のお役に立てることなら何でもしたいです」

 「そぉ。いい子ねー。でも今夜は私の邪魔になるから、もうお帰りなさい!」

 レイラは矢島の顎を持ち上げるように指先を添え、目を見つめながら諭すように言った。

 「はい。先生」

 「検体結果が出れば報告書を書き上げて、科捜研から県警に上げる前にオマエにはこっそり教えてあげるわ。ご褒美も一緒に、ウフフ・・・」

 「はい。レイラ様。じゃあ、僕はこれで帰ります。ご褒美ってなんだろうなぁ・・」




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