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親愛なるご主人さま
第25章 川辺の雪

 「ん?なにを驚いている?」

 「ハハハハ、署長。コイツはね、その女医さんと以前“お付き合い”があるんだよ。なっ」

 「ヤマさん!」

 「まぁいいじゃないか、やっしー。今度は無事に帰ってこいよ」





 新潟県警小出署の“やっしー”こと矢島康夫刑事は署の車で新発田市にある医療施設に向かって急いだ。県警本部内の科捜研の付属機関の研究所である。通常、司法解剖や行政解剖は県内の大学の法医学研究室で行われるが、県警は件の全裸遺体に外傷が全くなく、遺体そのものや遺体発見現場の状況から犯罪性の有無の判断材料として過去の実績から北条レイラ女史を指名して報告させることにした。そして既に矢島より一足早く、解剖する女の全裸遺体も県警の安置所からその施設へ移されていた。


 「ヤマさん、儂はその北条レイラという法医学者の名を始めて聞くんだが・・・」

 矢島が急いで出て行った後、署長の小林は山田に訊いた。

 「署長はこちらに異動になってまだ半年ですからね」

 「キレ者で優秀な医者らしいね。県警本部の評価も高いと聞いた」
 「過去に難事件を片付けた功績もある。おまけにとびきり別嬪だが、クセ者なんですよ」

 「ほぉー、さっきの様子だと矢島君の元コレか?」

 署長は小指を立てた。

 「いやぁそうではないんです。・・・実は3年前に、ある猟奇的な殺人事件が三条市でありましてね。実はあの矢島が担当していて、北条レイラを容疑者の一人として疑ったんですが、いろいろありましてね。いやまぁ、結局彼女はシロだったんですが、なんと言うか・・・やっしーはあの女史の魔力にやられたというか・・・惚れたというか・・・」

 「なんや歯切れ悪いなー、ヤマさんも」

 「フフフ・・・じゃ私は東京行きますんで」

 「うん。頼むよ」




 
 『新潟県警察付属法医学心理学研究所新発田センター』というのがその施設の正式な名前だった。刑事たちは長い名前を略して『付属センター』とか『新発田(しばた)』とか呼ぶ。

 矢島が付属センターに着いたのは午後5時半を過ぎ、辺りはもう暗くなっていた。施設の建物の灯りも消え、初老の守衛が守衛小屋から不機嫌な顔をしながら出てきた。


「わしゃ、もう帰るぞ。あんたかい小出署の矢島刑事ってのは?」



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