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親愛なるご主人さま
第21章 宴のあと


 「ぉ・・おゆるしください・・・」

 激しく数発打たれることを覚悟した。しかし以外にも右京は柔和な顔で腰を下ろし、耳元で薫にだけ聞こえるように囁いた。

 「名残惜しいか?菜穂子ちゃんが。フフフフッ、喜べ。正月に会わせてやるぞ」


 「ぇっ?」

 「儂と奴で・・・お前と菜穂子ちゃんを嫌と言うほど可愛がってやるたい。ウヒヒヒッ・・」


「そ、それって・・・?」


 驚いて薫は声を上げた。

 ピシッ!

「ぁあ・・」

「黙って這え! いくぞ」

 再び首輪の鎖をグイッと引かれ、薫は屋敷の玄関の車寄せまで四つ這いで歩かされた。そして鎖を握る手は右京からミスター“X”に移った。


 外は雪が降り止んだものの、全裸の薫は寒風に震えあがった。毛皮のコートに包まれ、お買い上げ商品の薫は“X”社所有の大型ワゴン車の後部座席に詰め込まれた。

 車寄せには圭吾、仁、吉岡らが今夜の来訪客の見送りに来ていた。

「梶篠さんご苦労。今夜はなかなか楽しかったよ。フフフ」

「こちらこそ。ミスター」

「儂はええ買い物をさせてもらったわい。イヒヒッ・・」

「右京様。喜んでいただけて何よりです。遠方ですが来年も是非お越しください」

「玲子さんと菜穂子ちゃんにもヨロシクな。あーそれから菜穂子ちゃんのご主人さんにも・・・・・そういえば彼は来いーひんなぁ。ヒヒヒ」


「は、はい。あー、そぅ言えば玲子はどこに・・・・」

「さっき下の階で会うたよ。じゃな。カリスマ調教師さん」

「はっ。では、ここで失礼します。鷹杉様どうぞお気をつけて」

「うん。丸岡!金は払ったな? よし。さてと・・・では帰るぞ。出せ」

 ボディガードがベンツの運転席に乗り込み、静かに発進した。鷹杉右京は後部座席の窓で意味ありげな薄笑いを浮かべ、圭吾らに手を振りながらあっさりと屋敷を後にした。


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