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戦場に響く鈴の音
第29章 使者

この戦が終われば、孩里がどれだけ恵まれた環境に居たかが理解の出来る当主にしなければならない。
俺の予想とは違い、甘ったれではあるが孩里は彩里と違い素直な一面も持ち合わせている。
家臣の選び方など、俺の家臣を見て学ぼうとしてる節も見える。
問題は…。
「僕が笹川の当主です。義兄上様が認めて下さらなくとも叔父上は当主の言葉を蔑ろには致しません。」
今にも泣きそうな表情で自分の自尊心を俺にぶつけやがる。
「当主とは、認められてこそだ。お前の叔父が認めているなら、とっくに朧の引き渡しは終わってる。」
俺は孩里の自尊心を言葉の刃で切り捨てる。
「また…、来ます。」
目にいっぱいの涙を浮かべて孩里が俺の天幕から出て行けば、入れ替わりに鈴が帰って来る。
「また泣かせたのか?」
女子のような孩里に鈴が同情する。
「当主がメソメソ泣いてても仕方がない。」
当たり前を鈴に言えば
「神路だって泣くくせに…。」
と意地悪く鈴が笑う。
鈴の前では俺はただの糞ガキ扱いにされてしまう。
「なら、お前も泣かせてやろうか?」
鈴を羽交い締めして胸元をまさぐる。
「いやよ…、夕べだって、わざと与一に聞かせるようにして抱いたくせに…。」
夕べは俺の天幕の前の見張り役が与一だった。
その与一を甘やかす為に菓子や茶を用意しようとする鈴を無理矢理に感じさせて抱いてやった。
「鈴は与一に構い過ぎだ。さっきも多栄との訓練を見に行ってたんだろ?」
「与一に妬いてるのか?」
ニンマリと鈴が笑う。
絖花に教わったのは琴だけではないらしい。
鈴の着物の合わせを強引に開く。
「やっ…、神路…。」
最近は豊かな膨らみに変わった胸を鈴が手で覆い隠す。

