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第11章 入籍宣言

「"愛里咲ちゃん"て名前もかわいいね」

男性社員の1人が言う。

「佐藤がそう呼んでたから、俺も真似してそう呼んでる」


そういえば、佐藤が愛里咲を名前で呼び始めてから、男性社員からはあまり名字で呼ばれなくなった気がする。


「もう"千葉さん"じゃなくて"夏川さん"だもんね」

(そっか…)

幸せな結婚ではなく、契約の結婚。

名字が変わっていた事に、愛里咲は今更ながら気付いた。



「さぁ、千葉さん、飲んで飲んで」

女子社員が割り込むように入ってくる。

3人がそれぞれに愛里咲にお酒を持ってきた。

「あ…はい、ありがとうございます…」

特に強い訳ではないが、断りきれず、愛里咲は勧められるがままに飲んでいた。