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第9章 内緒の結婚生活

「琉くぅん、今夜飲みに行かない？」

終業時間を過ぎ、津川が琉に駆け寄った。

チラッと愛里咲を見る琉。

バチっと合ってしまった視線を、愛里咲は慌てて逸らした。


「みんなで…ですか？」

琉が周りの先輩社員を見やると、皆一様に真顔で首を横に振り始めた。


「あ〜ん、ふ・た・り・き・り・で…ねン？」

上目遣いで胸を押し付ける津川。

(うわ、キスだけでこれかよ。どんだけ飢えてんだこのおばさん)

一瞬嫌悪の表情を浮かべかけた琉。

だが、俯く愛里咲の半泣き顔に気付き、

「いいですね」

と、琉はにこやかに快諾した。